産地レポート
2023.9.14
くだもの王国岡山では、新しく就農される方が多くいます。
どのようなきっかけで、何に魅力を感じて農業を始めるのでしょうか。
今回、8年前に岡山県でぶどう農家として就農された、瀬尾ご夫妻にお話を伺いました。
まずは就農したきっかけについて、
「実は、就農前はバーテンダーをやっていました。ですが既製品を売ることを物足りなく感じて、自分で何かを作りたいと思うようになりました。そこで農業に興味を持ち、全国を見て回る中、あるとき出会った方に果樹がいいよと勧められて岡山に来ました」
なんと以前はバーボンウイスキーのバーテンダーをやっていたそうです。
子どものときから農業を考えていた方もいれば、会社勤めをしていた方など、実にいろいろな背景を持った方がいますね。
岡山に決めた理由や、就農して良かったことについて伺うと、
「岡山で何より良かったのは、研修や設備が整っていたことですね。基本的な技術から指導してくれる上に、研修後には農園を借りてすぐに始められました。また岡山の果物の品質にも驚きましたね。ぶどうにハリがあって、とてもみずみずしい。実際に育ててみても技量一つで味が変わると実感しています。育てがいがあり、一段階充実した生活になりました」
「私も味わいや見た目の良さが、岡山のぶどうの魅力だと思います。シーズン中は後何日で終わるか指折り数えるほど忙しいですが、食べてくれた方の“おいしかった”の一言で本当に報われます。また忙しいのも事実ですが、意外と休みもあるんですよ。雨が降れば今日は休もうなどと、自分の裁量で決められます。そして収穫が終われば、肥料をあげるなどの作業はありますが、基本的に次のシーズンまでオフですので、長期の旅行に行くこともありますよ」
お二人から聞けたのは、やりがいがあり、生活も充実しているという声でした。大変さもありますが、自分の工夫が結果に結びつくのは、農業ならではの魅力ですね。自然に合わせてシーズン以外は休めるのも大きなポイントです。
最後に今後の目標や、岡山の農業の魅力について教えてもらいました!
「ぶどう作りの目標としては、さらにクオリティーを上げたいです。岡山のぶどうの特徴は、美しい、おいしい、そして高いです。高いというのはそれだけ技術を磨き、手間暇をかけて育てているからです。得られる満足度が違います! 私も最初に食べた時そうでした。それから地域農業の活性化です。そのためには生活の安定など、農業に魅力を感じてもらうことが欠かせません。私は部会長を務めていますが、市場の開拓を進め、良いものをきちんと評価してもらえて、新規就農者が少しでも良い生活ができるようにがんばりたいですね」
「私たちもまだまだ試行錯誤です。そんな中で、先輩の農家からさまざまなアドバイスをもらえるのがありがたいですね。この地域では私たちもそうでしたが、新規就農の方が多いんですよ。でも、ああしろこうしろと拘束されるわけでなく、一方で分からないことを相談したときは、わざわざ見にきてアドバイスをいただけました。先輩農家や新規就農者との、いい感じの親密さも岡山の魅力ですね」
伝統と革新が融合し、岡山の農業は変化を続けています。
新しい品種が生まれ、育て方も進化しています。
これからの岡山のぶどう作りが楽しみです。