産地レポート
2022.11.4
マスカット・オブ・アレキサンドリアやピオーネ、シャインマスカットなど、初夏の温室栽培から始まったぶどうのシーズンも、いよいよ大詰めです。
そんな中、10月から出荷の始まっている初冬のぶどうもあります。赤系のぶどう、紫苑(しえん)です。
10月の下旬、岡山県農林水産総合センターを訪れました。
紫苑の出荷時期は、10月から12月ごろで、最盛期は11月です。
紫苑は岡山県を中心に生産されていますが、全国的に生産量が少なく、とても貴重な品種です。
収穫前はどのような様子なのか見てみましょう!
紫苑が育てられているガラス温室です。
ピオーネやシャインマスカットなど、多くのぶどうは夏ごろから収穫を迎え、露地での生育が中心ですが、紫苑は寒くなる秋から冬にかけ収穫するため、温室で栽培されています。
紫苑の魅力といえば、なんといっても美しいワインレッドの見た目です。
さらに大粒で、糖度がとても高く、種がなくむきやすいという特徴を持っています。
見た目、美味しさ、食べやすさと、三拍子そろったぶどうです。
生育の様子でまず目につくのは、地面に敷かれた白いシートです。
ここは温室内のため、雨の対策ではないようですが、これにはどのような意味があるのでしょうか?
実は、これは日光を反射するためのシートです。
ピオーネやオーロラブラックなどの黒系ぶどうは、寒暖差によって色付きが進みますが、紫苑は日光に当たることで着色が進むため、いかに日当たりをよくするかが重要。
白いシートを敷くことで日光を反射し、上からも下からも光が当たります。
そして生育において、特にこだわっているのが房の大きさです。
紫苑は実の形が特徴的で、少し縦長になっています。
房が大きすぎると色が付きにくくなったり、輸送中に粒がつぶれることもあるそうです。
大きければ大きいほど良いものではなく、理想的な大きさになるよう細やかな管理が欠かせません。
他のぶどうと同じく、生育途中で余分な粒は取り除きますが、出荷時の房型をイメージしながらの作業のため大変だそうです。
さらに枝もよく伸びるため、小まめな栽培管理が欠かせないといいます。
細部までこだわる、岡山県のぶどうづくりの精神と技術は、紫苑にも存分に生かされていますね。
紫苑は、見た目の美しさや味の良さ、何よりも冬に登場する貴重な品種ということで、自分で食べるのはもちろん、お歳暮としても人気です。
ぜひこれから旬を迎える「冬のぶどう」をお試しください。