産地レポート
2021.9.17
岡山の桃のシーズンもいよいよ終幕に。
品種や収穫状況によっても変わりますが、9月ごろまでが主な出荷時期となります。
岡山の桃ならではの味わいを楽しんでいただけたならうれしい限りです。
忙しかった収穫が終わると、全てを忘れてしばらく休み、といきたいところですが、次の年に向けた用意が始まるそうです。
美味しい桃を実らせるためには、シーズン以外にも木の手入れが欠かせないとのこと。
最初に重要となるのは肥料です。
収穫の終わった桃の木は、新しく実を作る準備を始めていますが、たくさんの実を付けたことで体力を使い果たしています。
そこで肥料をあげることで、来年の生育の英気を養ってもらうのです。
感謝やねぎらいの意を込めるので、お礼肥とも呼ばれます。
それから適宜行うのが、木を整える剪定(せんてい)です。
木は放っておくと好き勝手に枝を伸ばし、木の成長や実の生育に適さない形になってしまいます。生育時に日光を遮らないか、成長を妨げないかといった視点で判断し、余分な枝を取り除いていきます。
木によって適切な剪定方法は違うため、農家の方の経験や技術が問われる重要な作業です。
農家の方に話を聞いた際、生育の主役は桃の木であり、人はあくまで手助けするだけという答えをいただいたことがあります。
含蓄のある言葉で、哲学を感じました。人だからこそできるのは、未来を考えることだとも。
農園を見ると、桃の木は大きさが少しずつ違うことに気が付きます。
ある程度年月がたつと、次第に実を付ける数や味が落ちてしまうため、安定した数量と品質を保てるように、木を少しずつ入れ替えるそうです。
こうした未来を見据えた行動が、品質の向上、そして次の世代の産地へとつながっています。
来年も岡山の桃にご期待ください。