岡山の果実 豆知識
2024.7.30
各地で梅雨が明け、本格的な夏がやってきました。
お店を見ると、夏らしいさまざまな果物が並んでいますね。
岡山県は「フルーツ王国」として、ぶどうや白桃をはじめとしたさまざまな果物が育てられています。
現在は白桃シーズンの真っ最中ですが、皆さんは一口に白桃といっても、多くの品種があることをご存じでしょうか?
例えば岡山では、白鳳(はくほう)、おかやま夢白桃(ゆめはくとう)、白麗(はくれい)など、時期に分かれて多種多様な品種が登場します。
そして、中でも特別なのが「清水白桃(しみずはくとう)」です!
7月下旬の現在、まさに旬を迎えているこの白桃は、一体どのようなものでしょうか。
魅力を知るためにも、まずは日本の桃の歴史からひもときます。
日本の桃の大きな転換点となったのは、1899年に、岡山の大久保重五郎氏によって「白桃」という品種が発見されたことです。
通常桃は成長すると赤色に色付きますが、白いままだったため「白桃」と名付けられました。現在では、「本白桃」と呼ばれることもあり、本白桃を起点にさまざまな品種が生まれました。
そして1932年、西岡仲一氏によって岡山県岡山市で「清水白桃」が発見されました。
清水白桃の魅力は、香りの良さに、果汁がしたたるほどジューシーな果肉、濃厚な甘み、そしてとろけるような食感です。
こうした上品で洗練された味わいを持つことから「桃の女王」とも称されます。
しかし、その反面、とても繊細で育てるのが非常に難しい品種でもあります。
種となる部分が割れてしまう核割れや、自然に実を落とす生理落果が発生しやすく、農家の方によると育てるのが特に難しいそうです。
清水白桃の特徴といえば、白桃らしい白色の滑らかで美しい外観ですが、それは徹底した袋掛けによって実現されています。
実が成長する途中で、一つ一つ丁寧に袋を掛けることで、害虫や雨風から守るだけでなく、日光によって繊維が固くなるのを防いで、美しい白さと柔らかな果肉を保っています。
生育では、果実に十分な日光と栄養が行き渡るよう木の形を整える剪定(せんてい)や、つぼみの摘み取り、複数回にわたる摘果(てきか)、そして袋掛けなど、収穫まで細やかな管理が行われています。
こうした農家の方々の惜しみない努力もあり、清水白桃の生産量は岡山県が全国第1位で、高い評価を受けています。
まさに日本の桃の最高峰といえる品種で、ギフトとしての人気も高く、大切な人への贈り物としてもぴったりです。
旬の時期はとても短く、味わえる機会は限られていますので、ぜひ今のうちに手に取っていただき、五感で味わってみてください!